宇宙創成

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)

宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)

宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)

テーマはずばり「ビッグバン」。上巻では紀元前240年頃、棒1本で地球の大きさを推定した人類が、天動説vs地動説、一般相対性理論、そしてハッブルの法則で示唆されたビッグバン宇宙モデル誕生にたどり着くまで。下巻はそのビッグバン宇宙モデルの証明が中心。これは宇宙背景放射探査衛星COBEが宇宙マイクロ波背景(CMB)の微小なゆらぎ(1/10万)を見つけたところで終わる。この下巻は「神は天地創造以前に何をしていたのか?」という問いで締めくくられている。答えは...。おもわず唸ってしまいました。

宇宙論というより、科学者のドラマを読んでいるよう。数式はほとんど出てこない(出てきても単純なもの)かわりに、人間模様があちらこちらに散りばめられている。ちなみに、暗黒エネルギーや暗黒物質については、エピローグで触れられている程度。これは原著の出版時期(2004年6月)から考えれば仕方ないし、著者は理論と観測のペアを重視しているので、こういう形がいいと考えたんだろう。そのへんは「宇宙はなにでできているか」とか別な本で。著者の力量と訳者がいい仕事をしていると感じる。すごくおすすめ。